実に12年ぶりの再訪。懐かしい顔、新しい釣り場、そして改めて驚かされるドラドという魚の強さと美しさ・・・

今回のフィ−ルドとなったパラナ川上流域とウルグアイ川を中心に、ドラドゲ−ムの感想を追記します。
日本へ帰任、豪州への赴任、その後久しく南米から遠ざかっていた僕に、再訪のチャンスがやってきました。新しい赴任地であるモスクワからなら、経度的には比較的近いアルゼンチン。

2017年2月、極寒のロシアから逃れ、束の間の太陽を求める遠征先としては文句ない選択肢です。
そうは言ってもそこは釣り師、これだけの水を目の前に、魚を釣らずでは男がすたるというもの。

アルゼンチンといえばフライ愛好家にとっては南部、パタゴニアの鱒釣りがまず念頭に浮かぶことでしょう。が、今回はあえて鱒を追わず、新たな驚きを求めて北上することに。

2005年11月、パラナ川上流、亜熱帯の湿原に棲むという黄金の魚、ドラ−ドを狙っての一獲千金巡礼と相成りました。
日本からみれば丁度地球の裏に位置する国、アルゼンチン。その近代史は移民の歴史です。

スペインの前身、カスティ−リャ王国の派遣した船団がラプラタ川河口に上陸したのが1516年。植民地として発展を遂げたラプラタ副王領は、1816年、本国スペインの衰えに機を見て独立。主権国家としての一歩を踏み出しました。

軍部独裁による恐怖政治、フォ−クランド紛争の敗北、年率3,000%を記録した苛烈なインフレ、2001年の経済破綻と、アルゼンチンの近代史は穏やかなものではありませんでした。

やっと今、安定と賑わいを得たブエノスアイレスの街は、南米のパリとの誉にかなう気品と雑多な人間味に溢れて感じられます。
この国を代表する自然遺産、イグアスの滝。ブラジル、パラグアイとの国境に水煙を吹きあげるこの滝は、世界三大瀑布のひとつ。緑も鮮やかな亜熱帯、密林の奥深くに虹をかけ、旅行者を驚かせてくれます。雨のように降る滝のしぶきを全身に浴び、本物の驚きの何たるかを知るためだけにでも、はるばる地球の裏まで旅する価値はあるかもしれません。
国土面積278万平方Kmは世界第8位。南北3800kmという遠大な広がりには、風の大地と呼ばれる冷涼なパタゴニアから、太陽容赦なく照る亜熱帯ジャングルまで、さまざまな地勢が混在しています。

チリ国境を成すアンデスの山々を除けば国土の大半は平坦な草原。モンス−ンの雨は大地を湿原に変え、豊かな生態系を育みます。

世界第4位の大河、ラプラタ。その源流のひとつであるパラナ川上流を空からみれば、文明の形跡もまばらな野生の大地が始原的美しさを湛えて広がっていました。