この温泉の名物、巨大な切り株で作ったお風呂。川や山を歩いた後、ゆっくり過ごすにこれほど素晴らしい宿はないでしょう。
世界有数と評される貴重な渓畔林に道路を敷くよりも、むしろ週末ごとにハイキング客を募りミニバスで送迎、なんて企画をしたほうが山も村も豊かになるんじゃないかなあ・・・
そんな豊かな吉和の森にも、開発の波は容赦なく押し寄せています。
反対を押し切って開始された十方山林道(細見谷林道)の建設は、主管団体である緑資源機構の破綻後も継続され、総工費180億円を投入して進められています。僕は専門家じゃありませんが、こんな山奥に立派な舗装道路、要りますか?
冬を迎えるブナの大木。
葉を落としてなお、勇壮。
山頂付近には笹野原をゆく区間も。
峰々の彼方には瀬戸の海の輝きを遠望することができます。
そんな支離滅裂な土木行政よりも、この地にしかない魅力を十分活用した開発をしていって欲しいものです。
その意味で応援したいのは女鹿平温泉クヴェーレ吉和。木材加工の際に発生する木屑を利用した酵素浴、土地の新名産アワビ茸の料理等、村と共に発展を目指すその志や天晴!
海抜1318m、十方山は僕らの大好きな山です。標高では恐羅漢やすぐ西に位置する冠山に僅かに及ばないものの、その名の通り『十方見晴るかす』圧巻の眺望。
紅葉の時期も勿論ながら、夏の夕べを過ごすのもまた格別。
そしてこの食事!素材も技も、文句のつけようございません。必ず満足できる宿です。ぜひ!
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寂地峡、瀬戸の滝、中津谷、細見谷など、吉和には美しい滝や渓谷がそこかしこに。
そしてそれらほぼ全てにアマゴやゴギが泳ぎ、広島の渓流釣りファンにとって貴重なフィールドとなっています。
楓は水辺を好む木です。秋になると一際鮮やかな朱をまとい、川辺を美しくふちどります。
西中国山地の村としては歴史が古く、規模も大きい村。とりわけ林業の伝統は長く、山々には驚くほど奥深くまで先人の足跡が残されています。
沢にかかる朽ちた木橋、最後に人を渡してから何十年の歳月を経たことでしょうか。ゆっくりと流れゆく時間が、この空間に結晶となってゆくのが見えるようです。
吉和村。
山間の農村と言うと寂しいイメージが先行しがちですが、こと吉和に限っては誤り。東西に開けた谷には太陽がよく射し、夏にはひまわりが咲き乱れ、楽しい気分で迎えてくれます。
(平成15年の改編で廿日市市に合併され吉和町となってしまいましたが、僕ら筋金入りのファンにとっては今も吉和村のままです!)
吉和村と十方山