まだ幼いアメゴ達の姿、そして時折ひと回り大きな鮎の姿が流芯をよぎります。淵にはハヤの群れも遊んでいます。
彼らが元気に泳ぐ太田川があることが、広島に暮らす我々の健康の源でもあります。
だってほら、
流れの中をのぞいてみると・・・
筒賀や加計のあたりまで下りてくると川は道路や人家の脇を流れ、ほとんど全ての区間で治水工事が施されています。
険峻な谷あい、毎年のように土砂崩れの起きる地域では治水工事の必要性も否定できません。ただ、そんな場合でも極力片側護岸、そして自然川床を残すといった配慮があれば生態系に与える負荷も最小にすることができるはず。また同時に抑えられたコストでブナの木一本を植えれば、どれほど優れた地球環境が作られることか。これからの河川行政には長期的視点からの配慮を願いたいものです。
彼岸が来ると魔法のように現れて咲き誇る彼岸花。僕の田舎、四国ではマンジュシャゲといいます。
竿を持たず、ふらり歩く川辺。強さを失った秋の太陽がやさしく暖めてくれます。
- 太田川 下流へ
見るたびに心和む、久地(くち)の鉄橋。
無数の山が点在するこの地域、市街地はもうすぐそこに迫っているというのに、まだ太田川は清流の気品を保ったままです。
眺めいると、そのうち橋を渡る軽トラが一台。農作業帰りのご夫婦のようです。なんとも、いい景色じゃないですか。
かつて太田川の流れに沿って走る列車がありました。広島から北上、可部(かべ)の町から山間に入り、太田川の源流のひとつである渓谷、三段峡へと至る約60kmの行程、可部線。
線路脇に見える風景、時にのどかな田畑、時に眼下に渦巻く急流、それは広島に引っ越してきた当初、川へ遊びに行く際いつも目を楽しませてくれた風景でした。
流域の人口減少い伴い可部から三段峡への区間は不採算路線となり、2003年11月30日最後の列車がその役目を終えました。公園として保存されることとなった安野駅。近くを通りかかる度、僕らはなにかと理由をつけてこの駅に立ち寄ります。
この辺りまでくれば川幅は20〜30m、深い淵と早瀬を繰り返しながら気持ちよさそうに蛇行をくりかえします。
やわらかな砂が打ち上げられた浜では色々な動物の足跡を見ることもできます。すぐ川向こうの崖には猿の群れが賑やかに騒ぎます。砂浜に寝転がっていると繁みの中からガサゴソと怪しい音。息をのんで見守っていると、そこから出てきたのは一匹の亀。数日前の大雨増水を高台でやりすごしていたようです。長い足跡を残し、静かに川の中へ消えていきました。小さきものの世界を知らなければなりません。
幾つもの谷から集められた流れは程なく川の風格を帯びてきます。明るく開けた川には随所に大きな淵、初春には大きな鱒が釣れることも。
盛夏七月、ピンク色の可愛い花を付ける木があります。ネムノキです。日が落ちるころに花を開き、やわらかな花弁は風に吹かれてふわふわと水辺を舞います。虫の声が響きはじめます。
太田川 - 中流