太い流れにはバスやコイ、ナマズといった魚が泳ぎます。夏の風物詩、鮎の友釣りも、時期次第ではかなり下流域にまで展開されます。
また逆に海の魚、スズキやチヌが川を上ってくることも。高瀬堰の下で40cm超のチヌが釣れたことがあるなんて、信じられます!?
旅はいよいよ最終章。横川のあたりでJRの高架をくぐると、あとは広島のどまんなかをゆったりと進み、引き潮とともに瀬戸内海へ流れこみます。
可部の町を過ぎると、川はいよいよ都市部へと流れだします。広島市北部、安佐大橋付近では川幅は開けて100mに近くに達し、堂々とした流れは一方で旅の終点、海の近まりを予感させます。
台風の頃にはしばしば増水し濁流となるこの区間ですが、穏やかな午後には澄んだ流れに魚影を探すこともできます。
深みには落ちてゆく鮎の群れがゆらゆらと。明るい瀬には底をつつく大きな鯉。立ちこんだ足元には小さなハゼが無邪気に遊びます。
激動の昭和史を後世に伝える原爆ドーム。その傍らを太田川は、静かに流れてゆきます。多くを与え、多くを託され。
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20世紀初頭まではマスを専門に獲る職漁師がいるほど、太田川は豊かな川でした。その後の工業化にともなう利水により、今日の太田川はかつての姿の面影すら見られぬほど痛めつけられています。
しかし近年水質改善と稚魚放流の成果により、サツキマスの遡上は増えてきているそうです。ここに暮らす百万市民のなかから川に目を向ける人が増えてゆけば、サツキマスもまた増えてゆくはずです。
太田川 - 下流