今回お世話になった‘くに丸’の船長は、釣り好きが昂じて漁師になった海人。その船長曰く、朝イチの金時を逃すべからず!職漁師が仕事を終えた後の事とはいえ、やはり朝一番が魚の活性が高いのだそうです。
キビナゴをパラパラ撒くと果たして、おおっ、色とりどりの魚達が水族館よろしく勢揃い!乱舞するハギの下に、ほのかに青いツムブリが駆け巡ります。そしてその騒ぎを蹴散らすように、褐色の弾丸が音もなく飛び交います。マグロです!
いやはや、初日からして沖縄の海を満喫させてもらいました。上級者の皆さんにはサイズに不満が残ったそうですが、沖縄初めての僕やハムにとっては文句のつけようのない体験でした。
なんだか早くも一年分釣った気がしますが、
・・・とりあえず明日もがんばろう!
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今度はシイラです!
ただ、のんびり遊んでいるわけにはいきません。船長や、歴戦のベテランSWフィッシャー達人ブラザーズにとってはこの程度のマグロは雑魚の部類。さっさと勝負をつけ、次なる大物に備えねばならないのですから。
そうこうしているうち、騒ぎを嗅ぎつけたかサメまで寄ってきて、逃げるマグロ、追うサメ、空を舞うキビナゴ、がっつくハギ、、、船べりのどんちゃん騒ぎは早くもピークに!なんとか取り込んだときは、ふう〜っ!
やや減速して走ること二時間 (皆さんいい感じに酔いがまわってきたころ)、ついに目的のパヤオが見えてきました。海域には一足先に到着した他の遊漁船が3、4隻、まさに釣りを開始しようというところ。
エンジンをニュートラルにするやいなや予想外に強いウネリが足元を突き上げてきます。遠景写真では穏やかに見える海ですが、2.5mの波に揺られると何かに掴まらずには立っているのもままなりません。
ま、この位で弱音を吐いてはナブラーズの名折れ。右に左にヨタつきながら、総員戦闘配置!
今回集まったのは知るひとぞ知る、伝説の‘達人’@フレンドリー(弊社社内誌)。そして意外に頼りにならない達人の三十倍頼りになる幹事役、達人兄者。神かオタクかその両方か、フライ美学の探求者ミサゴさん。このそうそうたるメンバーの末席に加えて頂いた我々夫婦という計5名。ひと呼んで、ザ・瀬戸内ナブラーズ!
降り立った久米島飛行場は抜けるような青空。一枚のチーム集合写真にも各々の個性が如実に現れておるようですな!
山谷はあるものの、午後も飽きない程度に釣れつづきます。いやむしろ、飽きる程、と言ったほうが正直かもしれません。この釣りは基本的にボーッとしていれば良く、するとそのうち何の前触れもなく、自由落下する鉄アレイが竿先を捻じ伏せてくれるという寸法。
これほど簡単に釣れてしまうと微妙な喪失感を感じるのは否めません。とはいえ皆さんが船酔いで休んでいる昼さがり、元気な僕とハムがボーっとしてるわけにも参りません。いや、ボーッとしていると、・・・ギュルルルウウン!
カツオもたくさん釣れました!
日和佐では驚愕の選球眼を見せ付けてくれたカツオたち、しかしここ沖縄のカツオは気が良いというか不注意というか、水中をゆらりと漂うだけのフライにも元気よくアタックしてくれます。
さて僕はといえば、従軍カメラマンの役目を一通り果たし、いよいよ船べりに足場を構えて第一投。と、その時僕の背中に強烈な衝撃が!
後の事情聴取によると、船の揺れでバランスを崩したハム奥様が、僕にドスンとぶつかってきたのだとか。とっさに両手で船べりを掴み落水は免れたものの、まだ全く減価償却できていない家宝一式は、徹夜で巻いたPE700mもろとも波間に消えゆかむところ!アイヤー!
透明度が高い海だからすぐに拾ってこれたものの、開始早々結局ずぶぬれ。一同失笑、船長には怒られるし、何やってんだか?
このあたりで今回用意したフライの紹介を。と、いっても多くはケニアやエジプト用に巻いた不良在庫の使いまわし。唯一今回用意したのは、百円玉の下に見えるキビナゴ君。撒き餌に慣れた沖縄の魚は派手なパターンに反応しないと聞き、急遽用意したもの。一目でわかるO型の妥協作ですが、これでも問題なく釣れました。
・・・と、遊んでいるわけにもいきません。日没までの数時間、近場のショアで小物釣りを試してみることに。一昨年にも久米を釣っている達人ブラザーズの案内で、前回メッキがよく釣れたというポイントへ。
が、季節が違ったためか、この日は反応鈍く、ハタ科の2匹のみ。ともかくも、気持ちのよい夕べ。
お宿は日航久米アイランドリゾート。
まだオフシーズンのため値段は大変安く、施設、食事のクオリティは大変満足いくものでした。宅急便で送る荷物の受け取り、庭の脇に設置された洗い場など、釣りを含めマリンスポーツ客への配慮もなされており、快適に滞在させて頂けました。さすが兄者、宿選びにもぬかりありませんな!
6月末、梅雨入りを迎えた広島をあとに、沖縄、久米島へ一足早く梅雨明けを迎えたばかり。那覇空港での乗り継ぎの合間にも、強烈な日射しが容赦なく滑走路を焦がします。
朝の便で広島をたてば昼さがりにはもう久米。これほど簡単に季節を飛び越え、違った釣りが楽しめるのは日本ならではの魅力。
達人ブラザーズは大物を抱いて絶好調。
あれ、兄者のそれは、ちょっと小さめ?(笑)
海色の斑点がきれいなリュウキュウハギ。
船長によるとリーフのハギは臭くて不味いが、パヤオについているハギは美味しいのだそう。
しかしこいつらの実にめざとく、すばやいこと!キビナゴを撒くと白波をたてる勢いで飛びつき、瞬く間に平らげてしまいます。フライを嬉々として噛みちぎってゆくのが困りものです。
翌日、いよいよパヤオの釣りに出撃です。
金城(かねぐすく)港の長い堤防を抜けると、船はリーフを抜け、力強く加速を始めます。
陸上では心地よく感じた風でしたが、遮蔽物のない外洋ではかなりの勢いで吹いている模様、逞しい波がふなべりを打ち、砕ける波飛沫は大変なもの。キャビン後ろで身をかがめていないと、あっという間にビショビショ!強がるならば、これぞ男の海。正直言えば、ヒョエ〜ツメタ〜!
頭を冷やして仕切りなおし。
まあこれほどの豊穣の海ですから、立ち直るまでたいした時間はかかりません。さすがはTiborPacific、冠水しても全然元気!
ミサゴさん、良型を手にご満悦!
ハム奥様、一匹目にして『・・・もう満足』宣言。
第一投。
なんとおお〜っ!?達人の竿が、兄者の竿が、ミサゴさんの竿が、ハムの竿が、一気に曲がります!なにぃ?
船上は戦場と化し、普段使い道のない巨大リールたちが甘美な悲鳴を奏ではじめます。この釣行に合わせて新調した我がPacificからも、出発前夜、朝三時までかけて巻き込んだ男気のバッキング700m(の、ごく一部)がコバルトブルーの深みに唸りをあげて消えてゆきます!

'07 梅雨明けの久米
リゾート気分でホテルの中をうろうろ。
庭にはバナナの大きな房が実っていて、南国ムードを盛り上げてくれます。