キビナゴの釣りは楽しい釣りでした。カツオや小型マグロなら際限なく釣れる勢い。しかしその集魚力が、裏を返せばこの漁方の弱点。一匹のビッグ・ワンに巡り合うまでに何十匹もの小物を虐めねばなりません。そこをどう捉えるか次第で好きにも嫌いにもなる釣りです。

沖縄を知りつくした達人ブラザーズ、究極のフライをご用意くださったミサゴさん、おかげで楽しい久米遠征を楽しませてもらいました。特に見事な幹事役をしてくださった達人兄者、かさねて有難うございました。大物を狙いうちする秘策を練って、またいつか。



- Back
そろそろ終わりかな、と思っていると、なにやら鳥が騒ぐ声。と、船の左舷、2、30m程のあたりで、突然カツオがボイル!

ここまで出番がなかったライトロッドでポッパーを投げると、来る来るうう!全速で巻き取るポッパーの後を、じゃれつくように,、余裕でついてきます。そしてある瞬間に、ガツン!ギュギューーン!キビナゴの釣りには飽きていたハムも、これには大興奮。
いやはや、実に楽しい釣りでした。これといった大物が捕れなかったのは、長年通っている達人ブラザーズには残念だったようですが、僕らにとっては驚きと学びに満ちた、充実した釣行でした。(その値千金の英知の全てはミサゴさんのHPに惜しげもなく!)

トビウオ飛び交う昼下がりの海を、船は島へと急ぎます。有難う、久米の海!リーフを超えるとそこはもう波穏やかな金城港。
神のフライで有難く釣った後は、他のフライや餌をつけて反応を試してみました。

まずキビナゴ系以外のフライですが、ほぼ完璧に無視。アトラクター系に喰ってくれた魚はどのみち余裕のサメだけでした・・・。サバ、ボラ皮で巻いたストリーマーにはカツオ、ツムブリが反応してくれましたが、それも魚が船べりでうわずっている時のタタキ釣りだけで、キビナゴのように流しておいて釣れる気配はありませんでした。

一方エサ、すなわちキビナゴそのものを付けると、いや〜やはりイチコロ!うまく沈められれば、ヒットの数はフライの五割増しです。しかしその分エサとりの被害も激しく、沈む前にゴチソウサマ、という弱点も深刻。そうそう、噂のエコギアミノーも試してみました。釣れ具合、エサとり被害ともに、フライとエサの中間位でした。
比屋定バンタの眺望。

島の北端、岬の沖合いには白砂だけでできた‘果ての浜’が。
かの有名な久米仙は、当然この島の名産。工場を見学させてもらいました。
宇江城(うえぐすく)城跡。

海抜309mにある丘からは島を360度俯瞰できます。
ギュ、
GYR
RRRRRRRRRRRRRRRRNN
R
RRRRRRRRRRRRRR・・

なんだか‘燃え尽きるほどヒートっ!’、な擬音になってしまいましたが、いやはや、凄まじいファイトでシビれさせてくれました。ふるえるほどハートっ!
一方メンバーで唯一、専業ルアーマンである達人兄者、小物の表層乱舞に心乱されることなく、ビッグワンを狙ってポッパーを投げ、ジグをしゃくり続けます。釣れる数は少ないものの、サイズ一回り大きいのは確か。また常に投げ、巻き、沈め、しゃくるというそのスタイルは、着信待ちを基本とするキビナゴFFに比べ遥かに能動的、魅力的。
フライに関しては噂通り、キビナゴパターンの独壇場。僕のいい加減な作品も問題なく喰ってくれましたが、いかんせん材料のシリスキンは破れやすく、良くて三匹、運が悪いと一匹釣っただけでボロボロに。用意した15本のうち13本までは初日に大破。二日目開始まもなく、弾薬は底を尽きてしまいました。

そこに降臨したフライの神、ミサゴ様!芸術的フライをお恵み下さいました!EZボディできたこのフライは壊れにくく本物とのマッチングも、少なくとも人間の目には完璧。写真にポインターをあててご覧下さい。
二日目。この日も久米は爽快な夏空。梅雨明けを告げる南からの季節風も、やや落ち着いたような気がします。

今日も同じパヤオにてつけて釣り開始。期待は裏切られることなく、船上ではあちこちからリールの唸り声が響きます。今回は真価の三割も発揮させてやれませんでしたが、大口径リールは巻き取りが速く、高速でのやりとりを大いに助けてくれました。
そこかしこにはおなじみ、シーサーが見張り番。
最終日、四日目の朝も爽快な青空。
この日は後回しにしていた島内観光に。

船の網には入らないサイズ。ギャフ打とうか?と船長は聞いてくれますが、偉大な生き物、殺すには惜しい!第一、とても食べきれません!

抱き上げてまじまじ見たいスケベ心はあるものの、今回は船べりリリースとなりました。魚から見れば連続強姦魔のような存在であることは否めませんが、快楽殺人鬼にまでは堕ちないように。
徳島の日和佐同様、こちら久米島もウミガメの産卵地。久米島のアカウミガメ、またインドネシアのオサガメ保護活動にも取り組まれているそうです。
琉球料理を囲んで祝勝の宴。

僕が注文した久米名物、カエルのカラ揚げは辞退する者もチラホラと?
『すっごい面白い!はよはよ、やってみんさい!』と勧められ、僕も試してみると、おお〜っ、これはオモロイ!いや、マジで!

同じ魚を釣り比べ、フライよりルアーのほうが面白いと感じるのは正直初めての経験です。それはひとえに、釣りの楽しさとは魚からのアウトプットのみならず、自分からのインプットにも比例することの証でしょう。

キビナゴフライの釣りがインプット不要だと言うつもりはありません。しかしその大部分はフライ作りやタックル準備で占められ、現場での作業はほぼ無し。そこがね〜
Fishy Trips
'07 梅雨明けの久米
メインロッドはG.Loomisクロスカレント8.3ft、#15。こんな戦艦大和の主砲みたいな竿が必要な局面はいかな久米でも滅多にないことでしょう。しかし、そんな竿を出して壮大な白昼夢に遊ぶには、久米は不足ない舞台です。

小物用としては#12、#8も持ち込みました。しかし#8で試してみると、マグロは勿論カツオにもノサレっぱなし。延々耐えて浮かせてきても、船べりの抵抗をうまくコントロールできず、また走られる繰り返し。これではファイトが長引くばかりで魚に悪く、釣り味もいまひとつダイレクト感に欠けます。平面でのやりとりならばライトロッドの本領ですが、パヤオの釣りでは上下方向の綱引きも避けて通れません。いつ来るか知れぬ3階級上の大物に備える意味でも、道具立ては大袈裟なくらいが吉。
波間にひときわ大きなシイラの姿が!

フライやポッパーを投げてみますが、すっかり学習している確信犯。悪びれる素振りもなく、キビナゴだけを拾って悠々泳ぎ去ってゆきます。

『ちょっと待ったあ!』 食い逃げは、フライPuristのミサゴさんが許しても、この忠犬様が許さねえっ!

そそくさと、『へい、目刺しキビナゴ一丁〜!』 ・・・青緑のダンナ、しばらく吟味した後、パクリ。エサ釣りに早アワセは禁物、ダンナが暖簾をくぐるまで待って、そこを現行犯で、ガツン!御用だ!