ひとしきり汗をかき納得したところで昼食を。今回が三度目となるKals訪問。その度に、釣りとは別に時間をとって山歩きを楽しんできました。山と川、Kalsの魅力の両方を楽しめる僕らは幸せ者です。

Grossglockerの頂に見下ろされながら歩く箱庭世界。汗をかき、立ち止まり、涼やかな風に吹かれると、たちまち心まで清められていくような感覚を覚えます。いえ、錯覚だと判ってはいても。



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緩やかな登り、歩き始めて30分もすると立派な雪渓がそこかしこに。

天然の冷蔵庫の中を流れる冷たい水を汲みながら爽快な山歩き。
2018年6月、久々の訪問。Kalsでの釣りを楽しんだあと、南麓からの散策路を辿ってみました。

頂上を目指す人の多くも、この南麓からのコ−スを辿り、肩の部分で一泊。早朝雪が固い時間帯に登頂するのだそうです。魅力的な山行ですが、僕らには無理。パンとビ−ルをもってのお気楽ハイキングです。
礼拝堂の中。

ステンドグラスの色鮮やかな影が壁の絵と燭台の上に静かに降りおちていました。

この尾根からは先は幾つものハイキングコースが分岐し、ところどころに配置された道標を頼りに1〜4時間程の散策が楽しめます。

西の空やや遠くに、雪をかぶった名峰、Grossvenedigerが見えていました。
さて、ここからがいよいよ山歩きの本番!まずは駅裏の斜面を10分ほど登ると、360度視界の広がる尾根
の上に出ます。ぐるり見渡せば3000m超の峰々が60座(!)一望にできる、Europa Panoramaweg。
雲ひとつない青空に白銀の峰々が静かに輝く天上世界。見渡すほどに、ただ、息をのむばかり!
中継駅を経て、標高2305mの駅まで30分。1000m近い標高差をかせぎます。

到着。空気は張りつめ、陽光は目に眩しく、高山の雰囲気が立ち込めていました。
一方ふもとの村Kalsにも、見逃せない見所があります。村はずれの牧草地のなかにひっそりとたつ、St.Georg(ザンクトゲオルグ)教会。1366年に建てられたこの教会はゴシックの鐘楼とロマネスクの礼拝堂をもつ、独特の折衷建築として有名であるそうです。穏やかな午後、草原に影を落す姿はどこか物悲しく、しかしまた安らいだ、不思議な印象に満ちています。
僕らはBlauspitze(青い峰)までを往復。片道1時間半ほどですが、ロープを伝う急斜面やハシゴを昇る崖もあり、なかなか緊張感のあるハイキング。頂上には十字架。その足元の小さな鉄板を開くと登山者のためのノートが。記念に記帳して山を下りました。

スイスのマッターホルンにも勝るとも劣らぬ、素晴らしい風景と空気を楽しませてくれます。
・・大間違い。彼方の大岩峰へと連なるリフトの列、見るだけでも壮観です。

シーズンオフで他に人影もなく、貸切状態で進む二人乗りのリフト。谷を越え、尾根を越え、下を見ればちょっと背筋の寒くなる高さを待ったなし、ぐんぐん登っていきます。
Kalsの村は標高約1350m。ここからはGrossglocknerへ向かう本格的登山コースを始め、車、徒歩、さまざまなハイキングコースが用意されています。

歩く根性のない人には、Bergbahn(リフト)が選択肢。往復12ユーロという値段からして大したことはあるまいと腰かけてみたら・・・
オーストリアの最高峰グロースグロックナー。この峰のそびえるオーストリア南西部には他にも多くの3000m越す峰々が林立し、ヨーロッパの屋根、分水嶺を成しています。'03年秋、前年春に車で辿ったAlpenstrasseとは反対の西側からGrossglocknerの勇姿を見に行ってみることに。

基点となるKalsの村は東チロル州の北端に位置します。Salzburg州からはFelbertauernTunnelを南に抜け、Matreiの村を過ぎたあたりで左折。つづらおりを15分ほどのぼり、やがて穏やかな牧草地が見えてくると、まもなく村の中心の教会が道の左手、川向こうに迎えてくれるはずです。

9月末の空は連日目に痛いほど青く澄み、山頂は丁度僕らの到着翌朝、初冠雪を迎えました。

- Europa Panoramaweg -