ともあれ、実に心弾む楽しい時間でした。大物に出会うことはできませんでしたが、旧友と、思い入れ溢れるフィ−ルドで、これ以上ない幸せな時間を過ごしました。
ひとつ残念だったのは、海水に紛れて侵入してきたという謎の藻。厳冬期を除いてほぼ通年繁茂しているとのことで、非常に釣りづらい!魚達にとっては問題ない様子ですが、堰堤に昇り降りする際ヌルヌルと滑って厄介。見た目にも気分のいいものではありません。
投げ倒し、歩き倒す、その心地よい疲れ。堪能しました。
40強の若魚でしたが、寄せてみて意外!ブラウンじゃないですか!

塩分濃度の高まりとともに、ニジよりもブラウンの魚影が増えたとは伺っていましたが、僕にとってはこの湖で釣る初めてのブラウンに不思議な感覚を覚えます。
一旦もどって遅い朝食。なんとまあ、ずいぶんグレ−ドアップしてるでないのMarionの朝食!
しっかり眠って翌朝、さわやかな初夏の空。朝マズメの部もいろんな出来事がありましたが、それは悔しいので割愛!

ともかくこの、記念すべき再訪にあたり背中を押してくれたB司令に最敬礼!やはり持つべきは友。しかも、釣りの友。
そして、穏やかな日没。

べったりと凪いだ湖面には魚のモジリも見えず、OVの一日は終わり。宿に戻ってお楽しみ、反省会の時間になったようです。
北岸の朝焼け。風がたち、発電の風車が回りはじめます。期待と失望の交錯する魔性の湖の一日がまた始まります。

この次は、かつてこの湖の苦楽の全てを共にした、奥様連れで再訪するはず。それまでまた、しばらく。



5月7-8日

気温 10〜26c
水温 12c
忠犬 4ヒット3フィッシュ



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白み始めた空、穏やかな湖。

Bさんのご案内で、西の堰堤に立ちます。

帰ってきた・・・ 
オレはついに、帰ってきた・・・
しばしの昼寝。明るいうちに睡眠を稼ぎ、朝夕に就業。昼夜逆転の暮らしを余儀なくされるのもまた、OVライフ定常運行。

水深の浅い南岸を避け、再度西側の堰堤に出かけます。出会ったロ−カルフライフィッシャ−の話では、Bibioパタ−ンで二本釣ったとのこと。数日前にBibioが飛んだのならば、その記憶で水面に反応する魚がいても不思議ではありません。
幸運にあやかろうと、僕もBibioパタ−ンを。水面下に藻が多く、沈める、或は引っ張るフライが使いにくいのも、この選択の理由です。

するとほどなくして、チュパッ、、、

聞き合わせ気味にゆっくり立てると、乗った!
そしてこれまた懐かしの、Wapen Van Marion。従業員並みに知り尽くしたこの宿ですが、久方ぶりに投宿するとなると感慨もまたひとしお。
朝の金時はそれ以降事件もなく過ぎ、太陽が、初夏といってもよい強い陽射しを投げかけてきます。かつてイヤというほど通った東の堰堤に陣取り、この時期飛ぶことのある黒い羽虫、Bibioの登場を待ちます。

昼前には20cを超え、南からの風もまずまず強く、Bibioが飛ばされるには絶好の条件。ですが、一向にその登場はなく、湖面に魚の気配もなし。
一歩一歩、ゴリゴリと足の下鈍く軋む石。忘れていたその感触が記憶を呼び覚まします。足を止め、静かにフライを浮かべ大きく息を吐くと、僕はもう笑えばいいのか泣きたいのかも判らなくなる始末。ほんと最近涙腺ゆるくて、と思ったら出た!

40cmに満たない若魚でしたが、今この時、サイズなんて関係ないんです。有り難う、おじさんは、また会えて嬉しいよ!
そこから釣り場へのガイドは10年前からの駐在仲間、B司令が引き受けて下さいました。

欧州戦線の酸いも甘いも知り尽くしたBさんとの釣り談義は、フライマン不毛の地モスクワに暮らす僕の渇ききったハ−トに心地よく染み入り、二時間のドライブもあっという間に。ろくに心の準備もできないまま、僕はその浜に立っていました。あの頃と変わらぬユ−ロポ−トの灯、思いのほかに優しい潮風、しばし感傷に浸る僕をお許しください。せめてこの、立ち小便が終わるまで・・・。

何度味わったであろうこの感覚、OV戦線異状なし。抗いようのない睡魔に心地よく絡めとられ、まずは午前の部、終了。
新しい赴任地モスクワからブラッセルへは3時間半のフライト。

金曜夜の仕事を終えてモスクワを発ち、北海沿いの都市群の上空を南西へ。5月にはいった欧州の日は長く、ブラッセルに降りる直前まで残照が西の空を染めていました。

第46回目釣行

十年。通いつめたこの湖に立つ機会ないまま、実に十年が過ぎました。渓流の尺を目標とするそれまでの僕らに新しい世界を教えてくれたこのフィ−ルド、そこで過ごした膨大な時間には(そのほとんどが徒労の時間であったにも拘わらず) 今も格別の思いがあります。日本に戻り、豪州に暮らし、様々なフライの可能性を知った今だからこそ、この魔性の湖に穏やかな気持ちで再訪できるのかもしれません。
釣行記録 '16 春