おもむろに起き上がったこの猫、向かった先は水道の蛇口。日陰とはいえ夏の午後、無理もないことです。
水を手に汲んで差し出してやると、興味は示すものの口をつけようとはしません。地面に流してやっても同じことです。一体どうしたのかと案じていると、彼はすっくと立ち上がり、蛇口から直に飲み始めるじゃないですか!おお、さすがは、レコレ−タに居を構える猫殿、おみそれしました!
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マドンナが主演したミュ−ジカル映画の題材となり、世界的に知名度を得たEvitaの墓もこの墓地、やや奥まった一角にあります。
貧村に私生児として生まれながら、大統領夫人にまで昇りつめ、33才の若さで他界したEva Peron。闇の部分も多いその生涯、20世紀半ばの保守的カトリック社会を背景に考えると、彼女の人生が破天荒なものであったことは想像に難くありません。
墓守は猫が担当。迷路のように入り組んだ墓地には日陰も多く、猫たちにとって快適な生活空間なのでしょう。区画ごとに縄張り/担当区域が決められている様子、争いの気配はなく、ただただ平和な時間を体現してくれています。
1580年、それまで一時廃れていたブエノスアイレスの街が再建された際、その基点となった場所が、五月広場という名で市の中心部に残されています。奥にみえるピンク色の建物は大統領府です。
下町、Retiro地区の一角に立つ時計台。1912年、イギリス移民が、アルゼンチンへの忠誠と両国の友好を願って建てたものです。
後にそのイギリスと戦争をすることになったのは皮肉なものですが、今ではすっかりここ、サンマルティン広場の名物となっている様子。鐘楼からは鐘の音が鳴り響き、最上階のテラスからは下町を一望にできます。
街のいたるところには公園が設けられ、背の高い街路樹が通りに涼やかな陰を投げかけています。一際目立つのがこちら、紫の花を結ぶJacaranda(ハカランダ)。
夏の訪れを彩るこの花。その梢の下には何とも言えない芳香が漂って、心地よい演出を加えてくれます。
人口300万、南米を代表する近代都市ブエノスアイレスは、夏空の下、活気に溢れていました。
近代的なビル群の谷間には洒落たデパ−トやカフェが並び、路上の花売りやアコ−ディオン弾きも異国の旅情を演出してくれます。ショッピングモ−ルはクリスマス商戦たけなわ。アイスクリ−ム片手に歩いていると、あれこれと声をかけられ、チラシを手渡されます。
『なんか楽しい!』 特に晩秋のドイツから出かけた今回の僕らには、この青空が、この垢抜けた空気と賑わいが、眩しいばかり!
タクシ−で20分ほど離れた所にある、レコレ−タ墓地。日本ではお盆や命日を除いて墓地にでかける習慣はありませんが、海外では墓地が公園の役割も兼ね、散歩する人をよく目にします。
この墓地はアルゼンチン社会の特権階級、成功者のみが眠ることを許された場所。精緻に造られた霊廟のひとつひとつが、この地で得た富と権威、そして抗うことできないヨ−ロッパへの郷愁を表現しているように思われます。
ちょっとした広場に何となく立っている巨大な木を見つけました。どうみても100年や200年の若木とは思えないのですが、脇に神社が併設されているわけでも、立て札に詳しい説明があるわけでもありません。周りには柵もなく、通りかかる人達は根を椅子がわりに休んでいきます。いい風景です。