Lower Corrientes
ドラ−ドの釣りにディスクドラッグは不要。基本的に魚を走らせるようなことはしません。そんな悠長な事をしていると、障害物にラインをとられるか、フックが外れてサヨウナラです。しっかりとフックアップさせたなら、あとは強引に竿でため、できるだけラインを出させずに勝負をつけるべし。10番ロッドがいい仕事をしてくれます。

なんとか、なんとか捕れた一匹目。それは40cm程度の小物ではありましたが、どうにか初物を手にした安堵は測りしれず。夕日に輝く川面にて、セニョ−ルと、そしてセニョリ−タと、がっちり握手。

一日目の収穫はパロメタ沢山とドラド一匹。ハムには計三度本命がかかり、うち一匹は舟べり近くまで寄せられたのですが、惜しくもランディングには至りませんでした。

ひとかけらの満足と、増幅した不安を抱え、ドラドの釣りはまだ始まったばかり!


Lower Corrientes 2
その後もパロメタは釣れ続き、彼らを相手に演習を繰り返す我々。実際、外道のパロメタといえど、ヒット瞬間の衝撃自体はドラ−ドのそれと遜色ない激しさ。釣り人としてはアタリの都度、とりあえず思いっきりアワせてみるほかないのです。

夕方、そろそろ竿じまいのアタリにアワセをくれると、次の瞬間、水面に黄金の飛沫が炸裂しました。来たっ、ドラ−ド!!

『Con mano!!! Mas fuerte!! Bien, otra Vez!(手や、ガツンと!よっしゃ、も一丁!)』 背後から飛ぶ喝。左手にラインをかたく握りこみ、渾身の力でアワセを入れます。
イメ−ジトレ−ニング通り追いアワセをいれるハム。跳躍を繰返すドラ−ド。そして数秒後、無念のフックオフ。『ええっ、なんで〜?あんなにアワセたのに〜!』 企画段階では 『私は別に・・・』などと涼しい顔をしていたセニョリ−タも、いざ黄金が手からこぼれ落ちるのを見ては、熱くなってきた様子!

我らがガイド、セニョ−ルマルセロはハムの竿を手にとって顔をしかめます。『ドラ−ドにきっちり鉤掛かりさそう思たらもっと硬い竿持ってこんと・・・。』とのお言葉。しかしこれでもキャスティング負荷は1Oz、フライロッドと比較すれば相当の硬さなのですが・・・

そうこうするうち、ついに僕にもドラ−ドがヒット。しかし案の定、最初の跳躍でバラシ。加速度的に不安になってきました。『あのな、竿で少々引っ張ってもあかんて。手や。左手で糸思っきり引くねん。ええか、こうや!』 有難い実演アドバイスも、普段そんな荒技の経験がない僕ら、実践するのは容易ではありません。
開始後まもなく、カウントダウンラパラ14cmで深みを探っていたハムに強烈な引き込みが!相当締め付けておいたはずのベイトリ−ルから、なおラインを引き出す重い走り!

『いきなりドラ-ド!?』とおもいきや、歯を鳴らせて上がってきたのは逞しいピラニア君。この地方ではパロメタと呼ばれ、アマゾンのブラックピラニアの近似種とのこと。外道とはいえ良型の引きを堪能し、幸先良い滑り出し。この調子でドラ−ドもチョロいもんか?

と、勢いづいてはみたものの、それから釣れる釣れるパロメタの連発、しかもそのどれもが3、4lbの良型。本来なら喜ぶべきことなのですが、ベイトリ−ルは右で巻きたいハムにとって、竿を持つ左手の疲労はたまるばかり。これではいざドラドがヒットした時ファイトできる腕力が残ってるのか?

などと思っているうちにハムにまたヒット。と、間髪いれず跳ね上がる黄金の魚体。『来たっ、ドラ−ド!』
僕らの訪れた初夏、まだ雨の少ない時期ということもあって、水量は少なめ。場所によっては白砂の浅瀬が岸から数十メ−トルも張り出し、舟を曳いて進まねばならないこともありました。一方川幅が狭まる区間では、5m以上と思われる深いえぐれもあり、収束した水流にはかなりの強さが感じられました。

この状況ではドラ−ドは基本的に待ち受け型の生態をちます。従い狙うべき場所は岸際ギリギリ、張り出した木の陰、或いは浅瀬でざわめく倒木の脇などに絞られてきます。エンジンを切ったボ−トの上で息を殺し、右に左に怪しいスポットを狙いつつ、ゆっくり流れ下ってゆきます。
大河ラプラタの支流、パラナ川、そしてそのまた支流のうちのひとつがここ、コリエンテス川。その名前がそのまま州名とされていることからも、この川の担う役割の大きさが推してしれます。

下流域にあたるEsquina近郊ではその規模は既になかなかのもの。ゆったり蛇行する川の幅は所によって300m以上もあります。

細かな泥を多く含みほとんど透明度がないパラナの水に比べると、この川の水は僅かながらも澄んでおり、地形的にも起伏が富か。魚の付き場が特定しやすいという点でキャスティングの釣りに適していると言えそうです。