そんなこんなで小型のパイクとパ−チ、グレイリングの釣りに終始したラフティング。釣りという点では期待はずれでしたが、カレリアの森を流れ下ること自体は楽しく、まずまず納得の二日間でした。
理由は結局のところ、釣り人の乱獲にあります。ロシア人は大変なアウトドア好き。四駆とゴムボ−トで原野の奥まで分け入り、それ自体は結構なことなのですが、とにかく何でもかんでも取って食ってしまうのです。

漕ぎ下りながらアレクセイがポイントを予告してくれます。『以前そこのカ−ブで3kgが釣れた、その次の淵で5kgが釣れた、、、』ほう、5kgのパイクとは大したもんだな!『で、それどうした?』と聞くと 『え?喰った』・・・でしょうね〜。

『いい釣りしよう思うたら解氷直後に来ないとダメよ』とのアドバイス。そりゃそうかもしれませんが、釣りガイドを生業とする者としてどうなのよその姿勢?

一方ロシア人の野営技術は巧みなもので、ナイフとマッチさえあれば真冬のツンドラでも生きられると言われています。アレクセイも巧みにキャンプを整え火をおこし、その点に関してはプロでした。
渓流状の区間では舟を寄せて立ちこみ、フライで反応を探ってみました。#16くらいの小さなドライにグレイリングが活発に反応してくれるのですが、これもまたサイズが小さい!大きくても15cm、ほとんどが10cm前後とはこれいかに?

するとアレクセイ 『あの、それ旨いんやけど、喰っていい?』 たちまちメザシみたいな小魚が草の茎に数珠つなぎのカナシイ感じに。・・・もうやめとこや。 
流心から外れた淵にルア−を投げると、魚雷のような勢いでパイクが飛び出してきます。湖に比べると溶存酸素量が高いからか、活性は格段に高い模様。

ただ、おしなべてサイズが小さい。50cm前後の細い個体がほとんどで、最大でも70cm。ロシアのなかでも辺境の地、しかも車でアクセスできない区間の釣りにしては意外なほど小さいサイズと言わねばなりません。平均70cmがバコバコと飛び出すカナダの釣りを思い出すと、なんとも期待外れなレベルです。
想定していたよりも川幅は狭く、水量も乏しく、なによりトラウトが不在であったため、フライタックルは出番なし。ロシアで鱒を釣るというのは、思いのほか困難な道のりです。

写真は森の床一面に広がるフカフカの地衣類。エア−プランツのような不思議な植物(?)でした。







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Leytna川は平均して幅15m程の小河川。浅い岩底の渓流的流れと、泥底が深く掘られた瀞が交互に現れ、メリハリのあるラフティングを楽しませてくれます。ポイントらしきところに寄せては釣り、荒い瀬の箇所では皆でパドルを持って流れ下ります。

アレクセイも手元に自分のロッドがないぶん気が散らず、あたりまえですけど仕事に集中してくれてる様子で一安心。
ところが早速トロ−リングをしたがるアレクセイ。夏場で水温が高いこともあり、岸際を打っていく釣りよりも、湖中央の深い部分を流して釣るほうが効果的だとの言い分は一理ありますし、のっけからガイド殿と対立しても宜しくありません。ご意見に従い、ここはしばしトロ−リング、、、、

しかし釣れないトロ−リングって30分で退屈、一時間で限界ですよね・・・
翌日は、趣向を変えて近隣を流れるLeytna川のラフティングトリップに。およそ30kmの流程を一泊二日、テント泊しながら釣り下る試みです。

ロシア軍御用達、UAZの四駆が気分を盛り上げてくれます。
てな具合でロシアという国、一事が万事この調子。ソビエト崩壊から20年以上を経た今も、サ−ビス業のなんたるかを全く理解してない人間が多すぎる!

悪意はないのでしょうが、プロ意識もない。お客の期待に先回りする気遣いなど思いつきもしない。そもそも 『夕食のビ−ルは冷蔵庫で冷やしといてくれよ』と朝厨房に指示して出たのに、『どの銘柄がええか聞こうと思うて・・・』とまだ冷やしてない。知るかどあほう全銘柄冷やしとけ!

そんなこんなで激しく空回った釣り初日。レストランの壁にはでかいパイクのデスマスクだけがにっこりと。

だからというとなんですが、ここは家族サ−ビスを全面に押し出し、ロシア北西部、カレリア地方への鉄道旅行を企画してみました。

シベリア鉄道ほどの長時間乗車に耐える自信はない僕ですが、夜のモスクワを出て車中で一泊。目的地で目覚める翌朝というのは効率的で、旅情も楽しめる一石二鳥オプションです。

カレリア随一の都市、Petrozavodskの空は青く、オネガ湖を渡る風も爽やかです。
ラフトトリップもガイドは引き続きアレクセイ。船を浮かべ、出発の準備。が、もう一人のオッサンが荷物搬入作業する間にも、さっそく自分のロッド出してルア−投げよるやないですか。

『アレクセイ、釣りやめや』 ところが血のめぐりが悪いのか 『なんで?』 と聞き返してくる始末。弥勒菩薩の生まれ変わりを自称する温厚な僕も、これにはいい加減頭に来たのでドヤシあげてやりましたよ。『アレクセイ、お前客か?ガイドだろ!これお前のホリデ−か?仕事だろ!竿たため!もってくんじゃねえ!車に放り込んでこい!さっさと出発じゃ!』

やっと事態のみ込めたらしくシュンとして出発。なんか空気悪うなったやないか、客にそんなん言わすなよ

ということでキャスティングの釣りへ変更を指示。パイクの気配濃厚な藻場に大型ストリ−マ−を通して誘います。が、釣れそうな気配とは裏腹に、なかなか反応を得られません。

そうこうしてると退屈したらしいガイド殿、自分のロッドでビシバシルア−を撃ち込んでくるじゃないですか。フライの射程を意識して操船するのがガイドの仕事であろうに、ライン超えて投げる、先に先に撃ち込む、オタクどちら様状態に・・・

そのうち『風が立ってきたので早上がりにしよう』とガイド殿。結局この日はガイド殿がスプ−ンで釣った二本だけという貧果・・・ 

帰りがけ、船底に半日転がしてカピカピに乾いたパイクの死体を指して、 『アレ?喰わねえの?』 喰うわけねえだろ馬鹿野郎! 
キジ島観光を終えた僕らはペトロザボ−ツクで一泊。翌朝再度鉄道で半日北上し、ヴェロモルスクへ。そこから車で内陸部へ向けて一時間半走り、シュエゼロ湖の湖畔に発つロッジにやってきました。ここを拠点に4泊、湖と周辺の川を釣ってみるという計画です(家族サ−ビスと題した割には、早速の釣りですが・・・)
ペトロザボ−ツクからは高速艇で一時間、約70km離れたキジ島へ向かいました。

この島を有名にしているのは世界遺産の指定を受けている木造教会群。なかでもプレオプラジェ−ンスカヤ教会は、多くのド−ム屋根を持つ独特の構造と釘を全く使わず作られていることで知られており、この島の観光の目玉となっています。
七月、束の間の夏らしい時間が過ぎると、八月には早くも朝夕の空気に秋の気配が漂い始めます。

焦る気持ちと裏腹に、この時期のロシア、意外に釣り物が少ないのです。サ−モンは多くの川で遡上を終えており、トラウトを狙える渓流は近辺に見当たらず。パイクや冷水性の魚を狙うにはまだ水温が高すぎる・・・ シベリアやカムチャッカ方面まで飛べば話は全く別ですが、こと西部ロシアについて、8月はこれといった釣り物が見つからない時期なのです。
Fishy Trips
Karelia in Aug '16 - 1
ゆっくり休んで翌朝、ガイドのアレクセイの案内でシュエゼロ湖に出ます。南北に10km強、東西4-5kmの幅を持つ、なかなか立派な湖。ただ、随所に小さな島が点在しているため、狙いどころは随所に見つかりそうです。

カレリアはロシアの北西端、フィンランドとの国境を成す地域の名称。すぐそこのフィンランド同様、豊かな森と無数の湖が織りなす豊かな自然で知られています。

モスクワやサンクトに暮らす人々にとっては比較的身近な静養地として、家族で夏休みをすごす人気エリアとなっています。