本命が遠い僕とハム奥様ですが、雄大なキャニオンでの釣り、おおいに楽しめた二日目でした。

キャンプに戻ると、おおっ?遊牧民の兄さんがトナカイソリに乗ってご来訪。
一夜明け、二日目の釣り。と、その前にこの朝は、前夜ご挨拶にお越しくださった遊牧民のご自宅に返礼のご挨拶。

吹きさらしの野原にひと張りのテント。大湿原の小さな家。
平たく大きな蹄をしたトナカイはぬかるみに足をとられることもなく、湿原を軽やかに駆け抜けてゆきます。ラクダを砂漠の船と称しますが、さしづめトナカイは湿原の船。ランクルも及ばない圧倒的走破性!

チビはともかく、我々いいオトナまでソリに乗せてもらい、貴重な体験。なんか、いい旅してるなあ!



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早速良型のグレイリングが竿を曲げてくれます。
家を守る女性陣と記念撮影。皆さん元気ハツラツ、いい顔してます。ま、うちのチビ、みいちゃんも元気では負けてませんが。コラコラ、トナカイ赤ちゃん嫌がっとるやないの!

しかしこのテント一つに18人が暮らすというのは、いやちょっと、いまだ信じられないんですが。
と、その間も、最初のポイントを丹念に攻め続けていたハマちゃんには格別のご褒美が!出た、本命のChar!60upの良型です。やりやがったなおめでとう!

ヒットフライはオレンジ色、長さ5cmほどのシュリンプパタ−ン。海では甲殻類を主食に育つこの魚、川に遡上してもその食性に訴えるものがあるのでしょう。
よく釣れる。皆大きく、そして強い。しかし、正直に言っていいですか?そろそろ飽きてきました。やはりここは本命魚、ArcticCharを拝んでみたいもの。

同じ河原の上端にあるプ−ルを偵察に。大型のCharはむしろ止水を好み、深く静かなプ−ルが良いポイントである。この淵も実績ポイントだ、と激励頂くのですがそれはルア−での話。フライでカバ−するには相当の信念が求めらます。
こんな大場所でこそ使いたいダブルハンド、しかし流水の釣りを想定してきた今回はスペイラインしか持参しておらず、止水での釣りには不向き。深く立ちこみシンングルで静かに釣ること徹してみますが、水冷たくて一時間が限界!

この地域に陽が射すのは7月だけで、8月も半ばになると冷たい雲が垂れ込めるのが普通。過酷な、冷涼な土地です。わずかにのぞいた青空。のんびりとタバコを吹かすAndrey。
グレイリングばかり釣り倒し戻ってきた僕らの前で、ハマちゃん、何やらもう一勝負。

今度の獲物はなんと、カラフトマス。もともとこの土地には生息していなかった太平洋種ですが、ソビエト時代、食糧増産の目的で移入されたものが今ではシベリア西部からノルウェイにまで、広く自然繁殖している次第。
長い背びれが特徴のこの魚、水中で妖しくゆらめく姿が一番印象的なんですが。
お邪魔してみると、これがなかなかしっかりしたもの。モンゴルでゲルと呼ばれる組み立て式のテント、こちらネネッツでの名前はチュム。直径は5m強といったところか。中心にスト−ブが置かれ、海岸から拾い集めた流木で暖を取り、料理をこなします。

ネネッツの暮らしはトナカイの放牧が生業。男は日中トナカイ達を追い、家事は全て女性の仕事。皆よく働きます。振舞ってくれた豪快なトナカイ料理が、また美味かったこと!
川床までは150mほどの高低差。ガレ場を一歩一歩、慎重に下るのは荷物を背負った体にはなかなかこたえる作業。ま、好きでつきあっているわけでもない5歳児のことを想えば、主犯たる僕に弱音を吐く権利はありません。

やれやれ、それでは取り掛かりますか。
8月半ばの時点では水量低く穏やかな流れ。一方6月、解氷直後には周辺の雪解けが一気に流れこみ、谷は激しい濁流に洗われるのだとか。このダイナミックな地形はそんな自然の営みが長い年月をかけて削りあげた作品とも言えます。
Fishy Trips
Arctic in Aug '18 - 3
河原の石には貝の化石が多くみられます。川床を成す一千万年前の地層から掘り起こされたものです。
さて、そろそろお暇して本業の釣りに。この日は上流域、前項の地図10番のポイントへ向かいます。高原状に隆起した土地を川が侵食し、谷を作っている区間です。

キャンプから片道3q。起伏もあり、いやはや、なかなかの運動。
オ−ストリアあたりなら祝杯に値するサイズ。
ヒレピンポ−ズも随分板についてきました。