『食堂の衛生管理はトイレを見ればわかる』といわれますが、ゴミは社会を写す鏡です。僕らもこれまで世界各国、日本各地でのゴミハンティングを通じて結構な社会分析の権威になった気がしておりますが、しかしまあ、我々日本人は不思議な国民です。普通、衣食足りて礼節を知るといいますが、日本人ほど物質的豊かさを享受していながら、他人の目がなければ何をやるかわからないという国民もないもんです。確かに、日本以上にゴミを捨てる国も三つほど心当たりがあります。しかしそれらの国民は本当に貧しく、刹那的、呆れるまでの無知で、人が見ていようとお構いなくゴミを捨てるのです。他方欧米人はといえば、粗野で乱雑な人間が多い反面、自分の倫理規範は確固としており、人が見ているから捨てないわけでも人が見ていないからもっと捨てる、というわけでもありません。普段は良き市民として振る舞いながら、ある日ふと川に古テレビや洗濯機を放り投げたりする日本人。社会学の研究テーマには面白いかもしれませんが、そこに暮らす身にはたまったもんじゃありません!!!
どんなに気を付けて釣りをしていても、誤ってゴミを残してしまうことはあるでしょう。木の高い梢や、あるいは水底に鉤や糸を残してしまうことはどうしても起こりえます。

だからこそ、僕ら釣り人は、他人のゴミを拾うことにしませんか?誤ってひとつゴミを残してしまったなら、二つ、三つ、気が向けば袋一杯、他人のゴミを拾うことにしませんか?

『ケッ、イヤだね』と思われる方、結構です。きっといつかお気づき頂ける日まで、ゴミを捨て続けてください。『ふむ、そうだな』と思って頂ける方、有難うございます!!!ぜひ一緒にゴミを拾っていきましょう!!僕達も精一杯拾います!!
僕らはこれまでいろんなゴミを拾ってきました。汚いもの、腐ったもの、生理ナプキンや使用済みコンドームまで、それはそれはエグイ物も拾ってきました。あまりにおぞましい物はその場で焼却処分できるよう、最近ではライターを持って釣りにでかけているほどです。

また現行犯で捨てる人には勇気をもって注意するようにしています。言い訳する人、逆ギレする人、皆さんさまざまです。『人のタバコがどやこや言う前に、日本のブラックバス全部殺して来んかい!そっちが先じゃ!』と、吠えられた鮎釣り紳士もいらっしゃいました。(傑作逆ギレランキング暫定一位)



人目の有無でなく、自分の良心に照らして行動しませんか?
捨てないでください。持ち帰ってください。持ってきたんだから持ち帰れるはずです。持ち帰れば、気分もいいはずです。
拾って下さい。もし宜しいければもう一つ二つ拾ってください。釣れない日にも、ゴミを拾えば気分はすっきりしますから。
誰のためでもありません。しいて言えば地球のためです。
これはウルトラマンでなくてもできる、地球を守る戦いです。




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僕が小学生のころ、手ぶらで防波堤に行けば、そのまま釣りができていたことを思い出します。微笑ましいエピソードのようにも聞こえますが、実は恐ろしいことです。防波堤に行けば大人達の捨てた糸、鉤、鉛のオモリ、たいていの道具はその場で調達でき、僕ら子供達はそれをアテに遊びにきていたのですから。石垣の隙間をのぞきこめばゴミの山。ジュースの缶、発泡スチロール、弁当箱、色とりどりのナイロン袋。そんなゴミの山をまるで宝探しでもするように掘り起こし、即席の釣り道具を調達していたなんて、あまりに悲しく、恐ろしいことです。

そんな環境に育った僕は、恥ずかしながらゴミについて感覚が麻痺していました。自分達自身もそこにゴミを捨て、他人のゴミを持ち帰るなどと考えもしませんでした。しかし年をとり、改めて自然と向きあう今、『捨てる』という行為の恐ろしさに僕は怯えています。なかでも永遠に分解することのないプラスチック、それはタバコのフィルターひとつであろうとも、一年経ち、五年、十年、百年、千年、幾星霜の歳月が流れようとも、残酷なまでに今日の姿のまま、地球上に存在し続けます。僕の死後も永遠に終わることない罪を、僕は償うすべを持ちません。太平洋がタバコのフィルターで埋まるとき、最後の人類も死に絶えることでしょう。空想の話ではなく、単純な時間軸の問題です。
いまさらながらとは思いながら、どうしてもお願いせねばなりません。『ゴミを捨てないでください』

そんな事分かってるよ、と思われる方、ありがとうございます。加えてお願いします。『ゴミを拾ってください』

大きなお世話だ、とおっしゃられる方、お願いです。
冗談でも結構ですから、一度だけ、ひとつだけ、他人の捨てたゴミを拾ってみてください。捨てるより拾うことが如何に面倒で、しかし同時に後味のよい行為か、きっとお気づき頂けると思います。
Never Ever Litter