ここまでの釣りではフライよりもルア−の方がヒット率が高く、サイズ的にも良い傾向を感じていました。濁りの強い水の中で、十分にアピ−ルをするためには大型のベイトが有効なのは当然のことです。

やはりフライでは大型は釣りにくいものと諦めかけていた僕にとって、この一匹は喜ばしい驚きでした。有難う、鬼ガイドマルセロ!
スピ−ドという点ではシルバ−サ−モンや大型レインボウに一歩及ばないと思います。ただし全身筋肉ともいえる逞しい体が生み出す走りの重さ、そして気性の荒々しさという点では、他の全てを凌駕するといって過言ではないでしょう。

面白かったのはサバロというボラのような魚をスレがかりさせてしまった時。60cmはあろうかというこの魚と綱引きをしていると、同型のドラ−ドが喰いついてきたのです。いやはや、なんという闘争心!まさしくTigre de rio、川の虎!
73cm、9Lb。

20lb以上に成長するこの魚では、まだトロフィ−サイズと言うには及びません。が、すでに重厚な厚みをもつ黄金の体は貫禄十分。
Lower Corrientes
幾度も悔しい思いをしたものの、大いに汗を流し、新たな釣りを学び、存分に楽しんだ三日間でした。

西の空を焦がして夕日が沈んで
ゆきます。ホタルが飛び始めます。

さあ、帰ろう、辛口の赤ワインと
脂したたるステ−キの待つ宿へ!



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どうやらこの日は活性が高く、僕ら自身コツを掴んできたこともあり、引き続き良い午後の釣りを楽しむことができました。

鍵は何といってもストラクチャ−を如何にタイトに攻められるか。張り出した小枝の僅かな日陰にも、掌で掬えるほどの小さな流れのヨレにも、魚がついていることはよくあります。それらをどれだけ丹念に、そしてタイトに攻められるかで、ヒットの数は0にも10にもなる、そんな釣りです。
さすがに慣れも手伝って、左手で思いっきりフックアップ。念のためもう一丁!と、今までとは違う強烈な力で竿が絞りこまれます。ラインが濁った水を切り裂いて走り、大きな魚体が宙を舞いました。

『Grande!!! Tranquilo!!』 一見して判る大物を前に、落ち着けといわれてもそう落ち着けるものではありません。僕にとっての幸いは周囲に倒木などの障害物がなかったこと。足元への突進を何度かしのぎ、無事、その体を浮かせることができました。

その気合が通じてか、この日はいきなりヒットの連続。いずれも40cm前後の小型ではありましたが、うち二匹のドラ−ドをしとめることができました。こうなるとバラシも含めて楽しむ余裕が出てきます。

ドラ−ドの付き場はとにかく障害物ギリギリ。岸から50cmも離れた所にフライを落としては、反応を得られる確率は格段に悪くなります。アマゾンのトクナレ釣りでも同じでしたが彼ら捕食者達は自分より岸際にベイトを発見した時にこそ狩猟本能が刺激される様子。ポイントを1mも外したりすると、『Mas Cerca!(もっとタイトに!)』 ・・・背後からマルセロ軍曹の喝が飛びます。キワドク攻めたいのは言われずともですが、なにせ足場は回りながら流れる舟。そうそう思うようにいくものでもありません。とはいえ今日は魚の活性も高い様子、ここが根性の見せどころ。昼食の赤ワインに静かな思いを馳せながら、岸際を丹念に打ってゆくうちに、ズシン!! 着水直後の強烈ヒット!
三日目の朝も穏やかな晴れ。夜の間に芝を濡らした露が、朝日に眩しく輝いています。朝食後の軽い散歩。敷地の中にはアンティ−クにも値する雰囲気のアメ車が無造作に転がっていますが、それらがまだ現役で動くのには驚かされます。

今日はこの宿での最終日。昨日あまり釣りをしなかったこともあり、腕の疲労も幾分回復した感じ。気合十分出発です。