正午、水温は早くも8cにまで上昇。空気よりも格段に熱伝導効率の高い水。その温度が3度も上がれば魚にしてみれば大変な違いです。どうやらこの活性上昇は水温に鍵がある模様。

見渡せばあちらのプールに、こちらの落ち込みに、そこかしこで定位しフライを待つよいこたちの姿。これぞ、ドライフライパラダイス!
The 1st visit - Sept. '03

まずは東チロル州の北西端、カルスの村へ。Felbertauernの山を越えるのは思いのほか簡単。10キロ強のトンネルのおかげであっというまに山脈の南側に。しばらく南に下るとMatreiの集落。そこから15km山肌を登ればこの地域のアルペンリゾートの中心、カルスの村に到着です。

川を管理するHotel Taurerwirtの話では、Kalsbach上流域と支流、Dorferbachは目下産卵保護のため禁漁中。村の下、Arnigの集落あたりからやってみるのがよかろう、とのアドバイス。教わった通り、村外れの橋の脇に車を停めます。川は幅15mほど。水量の落ちたこの時期、水深はせいぜい1m。ただ、流れが直線的で強く、立ち込めるのは膝上位迄。流石はGrossglocknerに生まれる川、男性的な流れです。
午後遅くなると昼間の陽気で解けた氷河の雪代が川に入ってきた様子。水が幾分濁りを帯びてきました。(上の写真、奥に見えるのは海抜2,868m、Bretterspitzeの頂)。

それに伴い魚の活性も下がってきた模様。
ドライフライへの反応は散発的になってきました。ま、いいか。釣り欲も、食欲も、満腹。ほんの1km少々の短い区間ながら、このKalsbach、そしてGrossglocknerの峰に心を許してもらったような、そんな幸せな気持ちで竿を置きました。

川沿いを宿へと戻るうちにも、秋の夕べの冷たい空気がKalsの谷を満たしてゆきました。





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Unterlesachの脇を過ぎるころ、川の中央に中州が現われました。普段は二人一緒に釣ってゆく僕らですが、今回に限ってはどちらの流れも捨て難く、僕は上流に向かい右手の流れを、ハムは左手を別々に釣りあがり、数釣り競争をすることに。

この辺りは大方が尺前後のニジ。
魚影は極めて濃く、活性の高い魚は浅瀬や流れの開きにまで入っておりなかなか先に進ませてくれません。この中の島、木が生い茂り、お互いの姿は見えません。休戦交渉すらできんじゃないの!

空腹でヘロヘロになった頃、やっと合流点が見えてきました。どうやらそこは昨日下見にきたParadellの集落脇の橋。意地の30匹。一方ハムは空腹のため、22匹でリタイヤ、岸に上がって僕を探しておりました。時計を見ると3時。いやはや、満喫!
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が、11時をまわったあたりから、俄然反応が良くなってくるじゃないですか!

ニジマスの比率が高くなり、#12のエルクヘアカディスは右から食われ、左から呑まれ、乾く暇もありません。割とドラッグには神経質な様子でしたがナチュラルに流しさえすれば大抵の魚はガマンできない模様。釣る方の僕らも、ガマンできません!
この日、朝の気温は0c。岩陰に咲いた野ばらには霜が降って幻想的。勿論水温も5cと冷たく、膝にぶつかって騒ぐ飛沫がウェーダー越しにキリリとした感覚を伝えてきます。今日は、コケられんな・・・。

一方冷たい流れゆえか、川石には苔があまりついていない模様。歩き易い感触に一安心。

10時過ぎ開始。しばらくは小型ブラウンがポツポツと。型はともかく新しい川で最初に釣れてくれる魚は嬉しいものです!
オーストリアの最高峰Grossglockner。その水を集めて流れるKalsbachにはかねてから是非一度と思っておりました。ただ、氷河を源流に持つ川だけに雪代時に出かけてゆくのは不安。思い切りがつかないまま、つい後回しになっていたのです。今は秋、季節はベスト。いざ!