最後に深場狙いとして9ft10番のロッドに400Grainの組み合わせ。ここまで重くなれば少々のフライの空気抵抗もものともしませんし、流芯の深みを探るのも自在。腕への負担は大きいですが、深場に潜む魚を狙う状況では沈みの良いラインなしには勝負が始まりません。
狭いボ−トに積むことを考えると、できればロッドは2本程度にしておきたいもの。表層用として9ft8番に軽めのシンキングを一本。深場用としてはやはり9番以上の腰のしっかりした竿と400Grain以上のシンキングを一本、僕の感覚としてはそんな組み合わせお薦めします。
いずれにせよ克服せねばならない共通の課題はドラドの顎の硬さ、これに尽きます。石のように硬い顎にフックを貫通させるのは至難の業。ヒットの半分もキャッチさせてはくれません。それだけに無事手の中に収めた黄金の魚はことさら美しく輝き、そして鈍い残光を曳いてまた、暗い水の中へと帰ってゆくのです。
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Fly Tackle
今回持参したタックル、まずはトップ狙いとして9ft7番のロッドにWF8のフロ−ティングライン。持ち重りがせず、小物と遊ぶには丁度良い反面、大きなフライを手早く打ち返すには軽すぎました。
最も汎用性が高かったのが9ft8番のロッドにType2のシンキング。流れのある川ではこれでもフロ−ティング同然ですが、径の細さ、比重の高さが大型フライのキャストを楽にしてくれます。熱に強く、砂を拾いにくい特性も有利に働きます。
次に、正直ドラ−ドとはそんなに釣れる魚ではありません。ルア−の方が必ずしもよく釣れるわけでもありませんが、アタリが遠のいた状況では、広範囲に、いろいろな深さを探りやすいキャスティングの釣り人が隣にいてくれると、ポイントの叩き逃しを減らし、また魚の状況を把握するうえで心強く思われます。これらの理由からフライとキャスティングのペアで臨むことが最善のアプロ−チかと思います。
ロッドは6ft前後のミディアムヘビ−。リ−ルは距離調整のし易さと、大きなプラグを引く関係から、ベイトリ−ルがベストかと思います。ラインにはPE2号、先にナイロン30lbを1m程、ショックティペットとしてワイヤ-を30cmほど継ぎ足しました。上でも触れたとおり、ピラニアの歯は尋常ではない凶器、ワイヤ−は必須。表面をナイロンコ−ティングしてあるものがノットしやすく便利です。
Casting Tackle
キャスティングタックルも用意することをお薦めします。理由は二つ。
まずは、狭いボ−ト、船首と船尾の二人共がフライを振ることは危険が伴います。風が無く快適にポイントを叩ける状況なら同時にフライを振るのも可能でしょう。ただ風は日中よく吹き、ボ−トは川面をくるくると翻弄されつつ流れます。ポイントが遠のくとそれなりのロングキャストを強いられ、そうなると二人が同時にフライを振るには手狭です。
情報収集とプラニング
釣り場の多くはエスタンシアと呼ばれる大農場の中を流れる川にあるため、周囲には一般の宿泊施設がないことがほとんど。従いこれら農場が経営する釣り宿の利用がほぼ唯一の選択肢になります。今回僕らが訪れたコリエンテス川流域には老舗のRinconDelDiabloをはじめ6、7軒の釣り宿があるようですが、値段はどこもおよそUS$250/dayで足並みを揃えている模様。例外はPiraLodgeとPosadaHambare'、特に前者はUS$500/dayと、一般人にはちょっと手が出しにくい価格設定です。僕らは初めの三日間をEsquina近郊のEstancia La Pelada、後半三日間をEstanciaElDoradoにて過ごし、双方趣向の違う、楽しい滞在をさせてくれました。
濁り、茶褐色の色がついた釣り場ではコントラストの強いフライが必須。黒を基調とし、気分次第でイエロ−、ピンク等のアクセント。マイラ−や化繊系のヒカリモノも戦意高揚に(?)有効でした。大きさは太軸ソルトフックの1/0か2/0。ヘッドにはディアヘア等でボリュ−ムを持たせます。着水音をたて、沈下アクションを強調するためダンベルアイを巻き込んでおくのも有効です。
ドラ−ドもともかく、ピラニアの歯の鋭さたるや背筋の寒くなるほど。一口さわられると長髪だろうがアフロだろうが見事にスポ−ツ刈りに。夜ごと再植毛の労が必要です。